宮本裕之

宮本裕之は、静岡県清水市(現・静岡市)で1943年に生まれた画家です。

彼は中村琢二(一水会創設メンバー)の指導を受け、絵画技術を磨きました。その後、多摩美術大学を1967年に卒業しました。大学での学びに加え、師匠である中村琢二の影響は彼の作品スタイルに大きく影響を与えたとされています。

 

1963年には一水会展で初めて入選し、画家としてのキャリアをスタート。その後も毎年、一水会展で入選を続け、実力を証明しました。また、1969年には静岡県清水市で初めての個展を開催しました。

 

1972年には一水会展で山下新太郎奨励賞を受賞し、評価を高めました。この受賞は、一水会展での活躍と彼の作風が多くの人々に認められた結果といえます。その後も国内外で多くの個展や展覧会に参加し、日本の風景画を中心に活動を続けました。特に、自然や地方の景観を細部まで表現する力が特徴的です。

 

彼の作品は、信州や尾道などの風景、房総の花畑といった日本各地の自然美を描いたものが多く、独特の色彩感覚と光の表現が評価されています。また、繊細な筆使いによって、花や草木の細部、山の稜線、海の波紋といった細かなディテールが生き生きと描かれています。これにより、風景全体が自然そのもののように感じられるリアリティを持っています。自然の静けさや壮大さを鮮やかに表現しつつも、どこか懐かしさを感じさせるものが多いのが特徴的です。

 

作品全体を通して、日本の自然や風景への敬意と愛情が感じられます。一水会での活動を通じて、日本画の伝統的なテーマを油彩画で表現し続けている点が評価されています。