奥田省一

奥田省一は、熊本県出身の油彩画家として、風景画を中心に活躍しました。日本美術学校を卒業後、無所属画家として活動し、光風会展や一水会展にたびたび入選。第一美術会でも賞を獲得するなど、その才能は高く評価されました。

 

彼の画風の核となるのは、旅を通じて得た感動をキャンバスに封じ込めることでした。フランスをはじめ、ヨーロッパ各地での滞在経験を活かし、セーヌ川沿いやオンフルールの街並みといった風景を描く中で、光と影が織りなす詩情豊かな世界を表現しました。作品には、自然のやさしさや、静寂の中に宿る深い叙情が宿り、観る者に安らぎを与えます。

 

奥田は「現場主義」を貫き、直接風景を写生することを重視しました。その結果、彼の作品には鮮やかな色彩と臨場感が宿っています。日本の自然に対する繊細な感性と、ヨーロッパの光景から得たダイナミックな視点を融合させた彼の作品は、時代や文化を超えた普遍的な美を体現しています。