本日ご紹介する上田毅八郎氏の作品は、油彩画「フライングクラウド」です。
フライングクラウドは1851年にアメリカ マサチューセッツ州 ボストンで建造され、数々の素晴らしい帆船をこの世に送り出したドナルド・マッケイの最高傑作です。
19世紀の大型帆船における最速の帆船であり、
ゴールドラッシュ時においては、通常の船舶であれば200日以上かかる、ニューヨークとサンフランシスコ間の渡航を、歴代1位となる89日で渡航しました。この世界記録は135年もの長い間継続し、極めて突出した帆船でした。
また伝説的なのは船舶だけではなく、フライングクラウドの航海士も異質の存在となっています。フライングクラウドの航海士はエレノア・クリシーという女性航海士でした。
船の世界は男性が支配するビジネスの中でも特にその色が強い世界でしたが、その中において航海士に女性が抜擢されたことは、極めて突出した出来事でした。
そして、その彼女が世界一の記録を樹立したのです。
この作品における波と空の絶妙な濃淡は、実際に船舶砲兵として出兵経験のある、上田毅八郎氏にしか描けない色合いと迫力となっております。
深い青色の中で光り輝く帆の美しさは言うまでもなく、
その帆をつたう帆線の描写の美しさは唯一無二なものになっております。
名実ともに突出したこのフライングクラウドを描いた上田毅八郎氏の作品を観ていると、
その歴史の一部に立ち会っているような体験を味わうことができます。
作品サイズ：F20
©︎2020 宮本快