カティーサークは19世紀を代表する帆船。
その時代で最も気品高くで優美な姿だったらしいです。
1869年に誕生したカティーサークの名は、スコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズの「シャンタのタム」の登場人物に由来します。
詩の登場人物というところがまたイカしていますね!
イギリスに中国から茶葉を運ぶことが当時のミッション。
とにかく1番に到着した船の茶葉には最高値がついたので、とにかくスピードでしのぎを削っていたということです。
カティーサークの特徴としては、鉄製のフレームを取り付けて建造されたため、他の帆船よりも多くの帆を立てることができたのです。
これが最高の気品と優美さに繋がるわけですな。
しかし、誕生したと同時期にスエズ運河が開通するという天変地異が起きたわけです。
スエズ運河のおかげで中国からの航路を6000キロ以上も短縮されたため、とにかく中国からの輸送時間の圧縮に成功したわけです。しかし問題は、スエズ運河は人工運河なので、これまた風通しが悪い。つまりは風で動く帆船には適さない場所なのです。結局帆船は運河開通の恩恵を受けることなく、むしろ蒸気船との競合が激しくなりました。
その後1880年代には業務内容を茶葉輸送から羊毛輸送に切り替え、オーストラリアとイギリス間を航海することに。カティーサークは両国間を83日間と他の船と比べ3~4週間も速く航海し、そこから更に10日間縮めるという快挙を成し遂げ、10年間は羊毛貿易航路を手中に収めていました。
ただ技術革新のスピードは凄まじく、程なくして蒸気船にそのポジションを奪われ、ポルトガルの会社に売却されることに。名前も「フェレイラ」、「マリア・ド・アンパーロ」に改名され、苦難の時代が続きました。その後英国にかつての誇りを取り戻そうと動きがあり、1922年にようやくカティーサークとして復活を果たす。
かつての貿易船としてではなかったが、海に従事するもののための訓練船として役割を全うし、1954年に最終航路を迎え現役に幕を閉じ、ロンドンのグリニッジに収まり、今では人気の観光スポットになっています。
気品高く波乱万丈な帆船。
そんなストーリーに魅せられて誕生したのが、スコッチウイスキー「カティーサーク」。名前だけでなくロゴも帆船から着想したとのこと。
ロゴがまたキャッチーですね!
味はというと、帆船のように最高に気品高く優美というより、癖がなく飲みやすく爽やかな感じです。
ハイボールにすればウイスキー苦手な人でもいけそうです。
癖がなく飲みやすいウイスキーはたくさんありますが、
やはり商品に「ストーリー」があると記憶に残りやすいですね!
今やロンドンの観光スポットの定番でもあり、
ウイスキーの定番でもあるカティーサーク。
ストーリーに魅せられてです。
©︎2020 宮本快